有限会社スフインクス
スフィンクス
[業種]大分類:学術研究,専門・技術サービス業 中分類:専門サービス業(他に分類されないもの) 小分類:その他の専門サービス業
2次元図面を3次元で見せる建築模型を制作
有限会社スフインクスは建築模型の制作会社です。
建築模型とは、建築物の二次元の設計図面やデザイン画などを基にして、完成時の建築物を三次元の立体的模型にして表現するものです。用途としてはプランや設計の検討用や、施主や出資者への建設計画、再開発計画のプレゼンテーション用、あるいは完成後の建物内に展示するためであったりします。歴史的建造物を模型で再現または復元して、展示用や研究資料として利用する場合もあります。
また、建築模型には、各部分の質感や色彩、使用する建築部材まで精密に再現する完成模型から、設計やプランの確認のための簡易なスタディ模型まで、完成度にもさまざまなものがあります。スタディ模型の多くは、白地のスチレンボード、スチレンペーパーなどで短期間に作成されます。
同社はこうしたさまざまな建築模型制作のすべてに対応しているほか、製品開発でのモデリングなど建築以外の模型制作も行っています。
1990年の設立で、代表の近田智洋氏はこれまでに東京ドーム、東京オペラシティをはじめ、よく知られている都内のオフィスビル、公共施設などの建築模型を数多く制作してきました。都内でも有名な神社の社殿・社務所の建て替えの際に、境内の完成模型を制作したこともありますし、かつては、建設省建設大学校(現、国土交通大学校)や全国建設研修センターで模型制作講習の講師を務めた経歴があります。
同社の特色は、「ふつうではつまらない、面白いものを作りたい」という独創性。もちろん建築模型ですから、形や比率は図面や注文に沿ったものでなくてはいけませんが、その他の表現部分に「こんなふうにしたらどうだろう」という提案があります。じつは、発注者にとってもそこに期待しているところがあるようです。設計段階、企画段階ではまだ見えない完成イメージを、設計者やプランナーの意図をくみ取りながら独創的な表現で提示するのです。ですから使用する材料もアクリル、木材、紙、多種の金属と、イメージに合うものをその都度探してきて工夫を重ねて組み合わせていきます。2005年に両国に製作所(アトリエ)を移したのも、墨田区内には様々な材料それぞれの専門家たちがいて相談ができ、すぐに加工を協力してもらえるという理由からでした。
最近では3D‐CADやCGを使って完成イメージを三次元で視覚化し、設計検討やプレゼンテーションに利用することが増えています。そのため以前と比べて模型を使うケースは減ったと言えるでしょう。しかし模型は、現実の空間に立体を置いて見せることで、CGにはないリアリティとインパクトを発揮しますし、人の手で作られた模型には、人の心を動かす、CGの映像にはない力も感じられます。模型への根強いニーズの理由はそうしたところにありそうで、スフインクスにはきょうもゼネコンや設計事務所から相談の電話がかかってくるのです。
経験と実績の裏付けのあるクリエイティブな建築模型制作
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有名建築物の模型に実績
建築模型の製作専門会社です。大手ゼネコン等の開発プロジェクトへの模型制作・提供に多くの実績があります。
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幅広い模型制作に対応
簡易なスタディ模型、シミュレーション模型から精密な完成模型まで、どのような模型の注文にもお応えすることができます。
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提案のある模型
単に図面を立体化するのでなく、企画意図を理解したうえで設計や施工へのヒントやインスピレーションを提供する、提案のある模型表現を行います。
アルバイトで始めた建築模型制作で第一線に立つ
「以前は大きな建物をつくるときは当たり前に模型を作りました。立体のものがあると説得力が違うので、必ずと言っていいほどプレゼンでは模型を使っていたのです」
と同社代表の近田氏が語ります。
建築模型作りを制作会社のアルバイトとして始めた頃、日本は80年代のバブル景気で建設プロジェクトが次々と生まれ、模型制作も大変な忙しさだったと言います。近田氏は建築系ではなく美大の彫刻科出身。彫刻家の佐藤忠良先生に師事して一時は作家を目指していたのですが、アルバイトからやがて個人で建築模型を制作するようになり、ある大手ゼネコンの専属で仕事をしました。仕事はどんどん増えて、1990年に麻布台にアトリエ兼事務所を設けてスフインクスを立ち上げ、その2年後に立川にアトリエを移しました。
「住んでいたのが立川だったので移したのですが、近くに大学があってその建築科の学生アルバイトも雇って、多い時で20人ほどのスタッフがいました。いちばん思い出に残っているのは、移転してすぐ、都心部の再開発プロジェクトでの50数階建て複合タワービルの模型を作ったことです。主にアクリルとスチレンを使った模型ですが、大変な仕事でした」(近田氏)
この時アルバイトで手伝っていたのが今の奥様の久美さん。当時をこう振り返ります。
「私は窓の部分に貼り付ける部材を手で1つずつ切っていたのですが、納期に間に合わせるためアルバイトもみんな毎日深夜まで。朝出勤すると社長が床で寝ているという状態でした」
建築模型の全盛期だったと言えるかもしれません。
様々な材料が使える墨田区で面白い模型作りを
「こんな物を作れるところはありませんか、と墨田区の担当者に相談して専門の人を紹介してもらっています。ここは近所にいろいろな工場があって手伝ってもらえるので助かります」
と近田氏は言います。金属加工工場に協力してもらって、丸ごと金属ブロックでできたユニークな模型を制作したこともあります。樹脂の加工や木材の細工などで協力してくれるところもあります。
「建築模型でちょっと変な要望が出ると、うちに制作注文の電話がくるのです。見たことのないものが欲しい、と言われて他にないような模型を作ったこともあります。私も、面白いものを作りたいと思っていて、材料もいろいろ使うことになります」
と近田氏は笑いながら話しますが、そんなアイディアと工夫のあるものづくりが同社の魅力になっています。
大きな仕事が入ると学生アルバイトを頼みますが、ふだんは久美さんが助手役の従業者2人の会社。その久美さんは『カミネコ』という名のクラフト作家という面も持っていて、同じアトリエ内でミニチュアハウスやブック型ミニチュアセットなどの制作をしています。『カミネコ定規』というカッター使用に便利な三角定規も商品化し、お茶の水の画材屋さんと自身のホームページで販売しています。
スフインクスではいま、3Dプリンターで成形した半透明の樹脂製タワービル模型を制作するなど、新しいこと面白いものへの挑戦を変わらず続けています。
「ふつうではつまらないでしょ?」
とにこやかに話す近田氏は、これからもCGでは表現し得ない新しい提案のある模型を創り出していくつもりです。
動画で見る「スフインクス」
連絡先
住所 | 〒130-0023 東京都墨田区立川2-11-2 |
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TEL | 03-6284-0515 |
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担当者 | 近田久美 |
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