東日本金属株式会社

ヒガシニホンキンゾク

[業種]大分類:製造業 中分類:金属製品製造業 小分類:洋食器・刃物・手道具・金物類製造業

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建築金物に確かな技術を発揮する、ひと手間かけた鋳物づくり

建築金物を得意とする歴史ある鋳造品メーカー

金属を溶かして液状化したもの(溶湯)を、型(主に砂型)に流し込んで成形したものが鋳物で、その金属加工法が鋳造です。東日本金属は、大正7年(1918年)創業の鋳物専業メーカーで、昔ながらの手作業中心の鋳造法によって主に建築金具を製造しています。建築金具として作るのはドアや窓の取っ手や錠前、飾り金具などで、大量製造品ではなく数個から数百個程度を1個ずつ作り込む多品種少量製造品です。材料として使うのは、真鍮(しんちゅう)と呼ばれる銅合金の黄銅や、同じく銅合金の洋白などです。洋白というのは、500円玉などにつかわれる、白っぽいツヤの出る金属です。
注文は建材、建具、設備機器、金物メーカーなどから、グレードの高い商品ラインの製品として製造を依頼されるものが多く、ほかにはないオリジナルな物を使いたいというユーザーに応えています。取引先には大手の総合設備機器メーカーもあります。
「主要なメーカーの真鍮製建築金具の8割は当社で製造しています」
と同社社長の小林謙一氏は言います。
また、ビルや住宅のこだわりのある施主や建設会社から、特別仕様の金具として製造を依頼されることもあります。そんな特注金具がその後商品化された例もあります。
以前、ある別荘オーナーが、「大きな窓は景色を楽しむ1枚のキャンバス。余計な出っ張りはなくしてほしい」と言って、アルミサッシのロック金具をフラットなものにするよう建材メーカーに求めたそうです。その開発協力の依頼を受けた東日本金属では、小林氏が機構の開発と設計をメーカーと共に行い、レバーも枠面から出ない埋め込み型のロック金具を鋳造しました。これが好評を得て、今では年間800個も製造するほどになっているそうです。
このほか、レギュラー製品となっているものには気密扉用の締りハンドルがあります。音楽スタジオや電磁波シールド室などに設置される密閉扉の締め付けハンドルで、月間で200セットほど出荷しています。



手間を惜しまず高品質な鋳物づくり

  • 鋳造技術+研磨技術

    古くからの職人技を受け継ぎ、科学的管理を加えた一個づくりの鋳造技術と研磨技術で、高精度・高品質な鋳物製品をつくり出します。

  • 多種少量生産の建築金物

    得意とする製品はドア、窓、家具などの建築金物や部品。標準品とは少し違う製品、難易度の高いもの、こだわりの金具などを多種少量生産します。

  • 歴史的建築物の金物復元

    歴史的建築物に使われている金物の復元製造も行います。形状や材料ばかりでなく、当時のつくり方も研究して復元しています。

古い物は驚くほど手間をかけて作られている

同社が受ける注文として興味深いのが、歴史的建築物の金物の復元です。これまで明治生命館、旧岩崎邸、三菱1号館、東京国立博物館表敬館、浅草寺などの金物を手がけてきました。特に明治生命館の改修(2001年)では、窓金具約1000本をはじめ、各種金物を復元製造して同社の技と技術を証明しました。
「窓金具では研磨の技量が重要とされて、候補となった何社かの職人が審査を受けたのですが、当社の1人だけが合格して、この仕事を受注しました」
と小林氏は振り返ります。つくり方も当時(昭和9年竣工)のままにということで、記録も残っていない中、父である会長の経験も借りながらつくり上げました。古いものから学ぶことはとても多いと言います。
「古い物は驚くほど手間をかけて作っていて、1つ1つそれは丁寧に磨いて仕上げています。とても真似できませんが、できる限りひと手間かけた、いいもの、間違いのないものを作っていこうと考えています」(小林氏)



まず実物どおりに模した木型を作り(外注です)ます。それを元に上下半身ずつに分けて木枠に詰めた砂で型を作り、中空部をつくる砂を固めた中子を性格にセットし、下の砂型に上の砂型をきっちりと合わせて乗せ、上の砂型に溶湯を注入する穴をあけ、溶解炉のそばの地面にそっと置き、柄杓で汲み上げた溶湯を流し込む。砂型から湯気とガスが立ちのぼり、しばらく冷まして砂型を崩し、まだ熱い鋳物を金具で持ち上げ、流し場へ運び水で冷やします。
十分冷えたらグラインダーで皮を剥く粗仕上げ、次に研磨仕上げ、この2工程が熟練の要るところです。砂は関西から仕入れる特別な山砂。微妙な水分管理を行って、繰り返し使います。そして、これらが行われる鋳造工場は、戦後すぐの頃、先代社長が野田の醤油工場の木造建物を移築したもの。屋根までの高さが、溶湯から出るガスや熱を逃がすのにいいようです。歴史を感じさせる工場内は、雑誌の撮影背景に利用されたこともありました。

間違いのない、いいものだけを作っていきたい

同社では若い社員も多く働いています。すでに小林氏の長男が工場に入り、現場のリーダー役になっていますが、若手への技術、技能の継承は大きな課題といえます。
「若い社員には担当の製品ごとに図面を渡して、ポイントはどこかを教えるようにしています。手作業が圧倒的に多いのですが、育成が必要なのは粗仕上げと研磨の部門です。研磨はセンスと技と道具の工夫なのですが、教えるのはなかなか難しいです」
と小林氏も技術継承の苦労を話します。
また、今後やっていきたいこととしては、二次加工で外注している機械加工の内製化ということがあると言います。そして、目指すものとして、
「特色を持ってやっていきたいです。こんなものが作れるのかという、ほかではできないものを作っていきたい。間違いのない、いいものだけを作って、お客様から、ここに頼めば間違いない、決めた日には必ず仕上がる、そう言われるようになりたいですね」
と意気込みを語ります。さらに、小林氏は付け加えて、
「いいものづくりには、ひと手間かけないといけません。惜しまずにひと手間かけること、お客様にもそう言い続けます」
と笑顔で決意を述べています。



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