一般社団法人日本ミニチュア陶芸協会

ニホンミニチュアトウゲイキョウカイ

[業種]大分類:製造業 中分類:窯業・土石製品製造業 小分類:陶磁器・同関連製品製造業

会社紹介 PICKUP特集

自作した「ゆびろくろ®」で開花したミニチュア陶芸の世界

一般社団法人日本ミニチュア陶芸協会は、「両国豆窯」を主宰する市川智章(いちかわのりあき)さんがミニチュア陶芸を普及させることを目的として運営する団体です。市川さんは大学卒業後、オーストラリアに渡って現地の小学校で約1年間、日本語教師を務めました。いったん帰国した後は、アルバイトをしながら海外放浪(アメリカ、カナダ、メキシコ、オーストラリア)の生活を送り、27歳のとき、都内の出版編集プロダクションに就職。現在はカタログなどの紙媒体のディレクション業務に携わっています。そして、その本業の傍ら、祖父の影響で始めた陶芸に魅せられ、週末には陶器の制作に熱中するようになったそうです。 転機となったのは2017年、手の平サイズの小さな電動「ゆびろくろ®」を自作し、両国豆窯としてミニチュア陶器の制作をスタートしたこと。「ゆびろくろ」はスマートフォンのアプリで回転速度を調節しながら小さな器をつくるのですが、これによって、より幅広く多様な作品がつくれるようになりました。 制作の様子や作品そのものをSNSで公開したところ、テレビ・ラジオ・雑誌などで紹介されて話題となりました。これをきっかけにして、2020年からはカルチャースクールでミニチュア陶芸教室の講師を担当しています。さらに、一般社団法人日本ミニチュア陶芸協会を立ち上げ代表理事に就任し、ミニチュア陶芸の普及に尽力しているところです。



「人が考えつかない作品をつくりたい」

市川さんが制作するミニチュア陶器は、指先にも乗ってしまう可愛らしいサイズ。「新しいこと、だれもやっていないことを考えるのが好きなので、見た人があっと驚くような作品をつくりたい」という市川さん。彼のミニチュア作品は、器以外にも書道用の小さな水差し、豆盆栽のための植木鉢、柄の部分が陶製になっている万年筆、さらには、コロナ禍の終息を願って陶芸教室の生徒さんと一緒に制作した小さなアマビエなど、多岐にわたっています。
制作の手順は通常の陶芸と同じで、まずは「ゆびろくろ」でかたちをつくり、乾燥させる。次に半渇きの状態で高台などを削って、700度ほどで素焼き。その後釉薬をかけ、最後に約1230度で焼くというもの。
市川さんにミニチュア陶芸の魅力について伺うと、「マンションの一室など狭いスペースでも制作でき、しかも作品をたくさんつくっても置き場所に困らないので、いくらでも試行錯誤できる。未経験の人でも比較的敷居が低い」とのことです。
現在、市川さんの作品は、インターネット販売に加えて、特に豆鉢については、西荻窪にある日本の文化を繋ぐ店「和茜」でも購入することができます。小さな作品たちは人気ですが、ご本人曰く「試行錯誤ばかりしているため売り物としての作品の制作が追いつかない」状態のようです。


希少性の高いミニチュア陶芸作品

  • 書道用の水差し

    書道家の依頼によるもの。墨をするときに一滴一滴水を入れて濃度を調整しやすいものにするというコンセプトで制作しています。

  • 小さい植木鉢

    いま、豆盆栽が流行中。盆栽を引き立てるため、味わい深い質感の植木鉢をつくりだすことがポイントとなります。

  • 万年筆

    柄の部分を「ゆびろくろ」で制作した陶製の万年筆。現在、白いボディに透明の釉薬をかけ、できた貫入(ヒビ)にお気に入りの色のインクを流すという、不思議な味わいの万年筆を試作中です。

ミニチュア陶芸教室の講師として

市川さんは、自ら制作する以外に、ミニチュア陶芸の魅力を広めることにも注力しており、その一環として「よみうりカルチャー自由が丘」でミニチュア陶芸教室の講師を務めています。そこでは第1・第3日曜日、午前の部と午後の部を合わせて10人ほどの生徒を指導。生徒の中には、すでに独自にお花や料理などのミニチュア作品をつくっていて、その作品を引き立たせるための陶器を自作したいとの思いからここに通い始めた方もいます。まず、市川さんの指導の下、いきなり「ゆびろくろ」で器をつくるところからスタート。陶芸が未経験でも、熱意のある人はどんどん上達していくそうです。当教室では、不定期ながら、「ゆびろくろ」自体をつくるワークショップが開催されることもあります。

日本ミニチュア陶芸協会を基盤にミニチュア陶芸の発信を

「陶芸というのは、やはり敷居が高いと思うんです。やってはみたいけれど、なかなかそのチャンスがないという人も多いのではないでしょうか。そこで、ミニチュア陶芸を足がかりに陶芸の裾野を広げられるような活動ができればいいと考えているんです」 こう語る市川さんは、2022年1月、一般社団法人日本ミニチュア陶芸協会を設立し、同時に代表理事に就任しました。当面の目標は、ミニチュア陶芸の普及と後進の育成だと考えています。例えば、認定講師のような制度を設けるなどして人材を育てることにもチャレンジしたいそうです。 また2年後をめどに、両国界隈に陶芸教室兼協会の事務所を設立することも視野に入れています。そこは生徒指導の場としてだけでなく、人々が自由に出入りして創作活動ができるような、地域に開かれた交流の場ともなるようにしたい、とのことです。 「コロナ禍を機にさらに働き方改革が加速し、リモートワークが日常となった今、ミニチュア陶芸に費やせる時間も増えてきました。私にとって陶芸はライフワークなので、体力の続く限り、作品づくりとその魅力の周知活動を続けていきたいですね。新たに設立を考えている教室には、子どもたちにもぜひ来てほしい。地域を巻き込んで、『ミニチュア陶芸といえば両国』といった発信ができればうれしいですね」

動画で見る「一般社団法人日本ミニチュア陶芸協会」

≪ PICKUP企業特集一覧に戻る

連絡先

住所〒130-0011 東京都墨田区石原2-17-12-201
TEL090-4816-0527
担当者市川智章
会社紹介 PICKUP特集