押上文庫

オシアゲブンコ

[業種]大分類:宿泊業,飲食サービス業 中分類:飲食店 小分類:酒場,ビヤホール

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単なる日本酒バーに収まり切らない押上文庫

2011(平成23)年4月、押上にオープンした「押上文庫」。そのネーミングからそこはかとなく文化の香りが感じられる日本酒バーです。店主の出身地にちなむ信州の地酒を、店主がコレクションしてきた極上の酒器の数々で楽しむという趣向が人気を集めています。
酒器と日本酒のボトルがずらりと並ぶ店舗が1階にあり、2階は和室。ここは、歌舞伎や落語などの上演会やその稽古、着付け教室、蓄音機を利用したSPレコード観賞会などにも活用されるスペースです。
酒処としてのコンセプト、店舗を含めた文化活動など、なぜこのようなスタイルができ上がったのか、探ってみたい。

音楽家としての模索が原点

店主の竹下文庫さんは、音大卒業後、ピアニストや指揮者として活動していました。
芸術を志す者ならば、だれもが直面する問題。それは、音楽家一本で生計を成り立たせるためには、どうすればいいかということです。
「例えば、ピアノのコンサートで200人のキャパシティの会場でコンサートを行い、満席になったとしても、それだけで食べていくのは難しい。自分の店をライブ会場にしてしまえば、一石二鳥だと考えたんですよ」
そんな発想から、もともと造詣の深かった日本酒と器、そして飲食店での勤務経験を生かした店舗を開くことを考えたという竹下さん。これからは社用族に依存する時代は廃れていくとの考えがあり、知人から勧められた押上の地を選んだといいます。「押上は交通の利便性が高く、若い層が増えているし、歴史を掘り起こすと文化の伝統があり、面白いと思いました」。
30人ほどが収容できる店内には、1959年に製造されたという希少なスタインウェイ製のピアノが鎮座し、コロナ禍以前は店内でピアノライブを開催していたそうです。現在も店舗を活用してピアノ教室を開いています。


文化の発信基地として

  • SPレコード観賞会

    90年ほど前の蓄音機の複製版と1000枚にも及ぶSPレコードのコレクションがあり、その観賞会には若い人々が多く集まるそう。サブスク全盛の時代にあって、その臨場感のある音やアナログ感が人気。

  • さをり織り

    なにもかも自由にした表現ができることが魅力の手織り「さをり織り」。その実践者の作業場としても使われています。第3日曜日には「手づくり市」を開催。

  • 女流義太夫

    女流義太夫の世界で活躍する竹本越孝(たけもと・こしこう)さんによる「ぎだゆう塾『夢孝房』」を実施、個人レッスンで義太夫の世界が味わえます。

日本酒と酒器の奥深き魅力を提供

押上文庫の特徴の一つ、器については、骨董から現代の陶芸家が製作したものまで、夥(おびただ)しい数の徳利や御猪口、料理の皿などが用意されています。一般に高級な器は実際に使用すると価値が下がると言われ観賞用とされることがほとんどですが、押上文庫では惜しみなく利用しています。
美酒を美しい名器で味わう。酒好きには堪らない時間であり、押上文庫でしか味わえない歓びとなるに違いありません。もう一つの売り物である日本酒については、信州の地酒を中心に、フルーティーなものから古酒までバラエティに富んだ品揃えで、メニューには冷酒、常温酒ともに16銘柄ずつ。現在信州で稼働中の70以上ある酒蔵の酒は、これまで全て一通り取り扱ってきました。店内には常時8銘柄程度の信州の地酒を用意し、日本酒ファンの期待に応えています。墨田区と葛飾北斎を通じて関係があり、友好都市提携を結んでいる長野県小布施町の銘柄である「北信流」(松葉屋本店)や「米川マサムネ」(高澤酒造)などもラインナップ。
つまみはぶり大根や白子のポン酢あえ、あん肝などをはじめ、酒飲みにうれしい品々がラインナップ。器の実力に負けないクオリティを誇っています。
客層は30代くらいの比較的若い層が多く、女性も4割ほどを占めています。日本酒ファンはもちろん、店主がオペラや歌舞伎が好きだという情報を聞きつけて常連になった人も少なくないそうです。「意外にも若い女性のほうが、古酒などの渋い酒を好まれる方が多いですね。日本酒は味の方向性もいろいろあり、自分の好みを探す楽しみもありますよ」

酒器で飲む楽しみ方と伝統文化の発信を両輪として

コロナ禍、日本酒バーにとっては厳しい時期が続いてきました。この時期、一般のイベント会場が使用できなくなる一方、押上文庫2階には、会議や芸能の稽古などをはじめさまざまな用途での使用が増えたそうです。 現在、竹下さんはコロナ禍の収束後に向けて構想を練っているところです。
「日本酒、酒器、伝統芸能・文化、音楽、等々。これらは『大人の文化と楽しみ』という枠でくくれる。家飲みが増える中、インスタでは『酒器で飲む』ことがプチブームなっている状況もある。『ハレの日だから、酒器で良い酒を飲む』といったムーブメントといったらおこがましいけれど、そうした楽しみ方をもっと広められたらと思いますね。実際に日本酒を楽しむ会などの貸し切りなども行われるようになってきました。こうした中で、今後は、酒器の展示会や知人の作家の個展なども開いていきたいですね」

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TEL03-3617-7471
FAX03-3617-7471
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